ぽぽちは、2017年10月 生後8ヶ月の時に避妊手術をしました。
犬を飼うと必ず選択に迫られるのが「避妊/去勢手術をするか否か」です。
避妊手術をすることで、多くの病気を予防することができると言われています。一方で、全身麻酔によって突然命を落としてしまう子も…
動物病院やペットショップでも、愛犬に子どもを生ませる予定がないのであれば、避妊手術することを勧められました。
実家のポメは、母が「可哀想だから」という理由で避妊はしませんでした。
うちの実家の柴犬は避妊手術したけど、すっごく怒ってた。
ぽぽちはどうしよう…(悩)
同じように悩んでいる人の判断材料になればど、この記事を書くことを決めました。
- 全身麻酔のリスク
- 避妊手術のメリットとデメリット
- 我が家が避妊手術を決めた理由
- スケジュール・実際にかかった費用など
こんな内容をまとめています。
私やぽぽちの体験談が、誰かの参考になれば幸いです。
我が家は、手術をする決断をしましたが、全員に手術を推奨しているわけではありません。手術するかどうかはあくまで飼い主さんが決めることです。そして、物事を決断するためには、より多くの情報や知識が必要です。この記事では、避妊・去勢手術に関わる情報を収集し、私なり、ざっくりとまとめています。
ご自身の価値観と合わせながら、最終的な判断はご自身で行なってくださいね。
全身麻酔のリスクか、病気のリスクか
避妊・去勢をするかどうか、一番悩ましいのは、「全身麻酔によるリスク」と「未避妊による病気のリスク」のどちらをとるかではないでしょうか。
女の子は乳がんや子宮蓄膿症になる確率が高いから若いうちにした方がいいよ
動物病院ではこのように勧められました。しかし一方で、全身麻酔によって命を落としてしまうという話も聞いたこともあります。病気は治療することができるかもしれない、でも、失われた命は戻りません。
全身麻酔の「万が一」って、一体どのくらいの確率で起こるんだろう?
全身麻酔で亡くなる確率は0.17~0.65%
アイ動物病院のHPによると、全身麻酔が直接の死因になってしまった確率は0.17~0.65%だそうです。
- 最も低い0.17%の場合、およそ588匹中1匹が
- 最も高い0.65%の場合、およそ153匹中1匹が亡くなる計算となります。
人間の場合は、0.01~0.05%と言われているそうなので、犬が全身麻酔で亡くなってしまう確率は、人間の10倍以上の確率であることが分かります。
万が一どころではない確率です…
麻酔前検査で事前に危険性をチェック
ぽぽちは、手術する前に血液検査を行い、全身麻酔に耐えられるかどうかの「麻酔前検査」(術前検査とも言います)を行いました。
年齢や健康状態によっては、レントゲン・心電図で胸の状態を診ることもあるようです。
病院側も、極力リスクを避けるために、事前に麻酔によるリスク耐性を検査した上で、手術を行っているみたいです。検査の結果、問題が見つかれば手術は中止ということになります。避妊できないと病気のリスクは残りますが、麻酔のリスクが事前に判明したことは幸運と捉えるべきでしょう。
娘も1歳の時に全身麻酔を受けることがあったのですが、同じように検査をしたことを思い出しました。
麻酔事故で亡くなってしまう子も
参考事例 不幸にも亡くなってしまったここちゃん
飼い主さんの胸中を思うと……
避妊手術によって防げる病気(女の子の場合)
次に、避妊・去勢手術をした場合、どのような効果が期待されるのかどうかをみていきます。
乳腺腫瘍
発情の回数が多いほど乳腺腫瘍になる確率が高くなると言われています。3回の発情を経験するまでに避妊をすると95%以上の確率で防げるとのこと。避妊の時期が24ヵ月を過ぎると、発症率は未避妊の子とあまり変わらなくなってしまいます。
避妊をしない状態で、腫瘍ができてしまった場合には、乳がん切除時に同時に避妊を行うことで延命率も伸びると言われています。高齢の避妊手術だったとしても、寿命が伸びるのならば得られる恩恵は大きいといえますね。
ぽぽちは発情する前に手術したので、乳腺腫瘍になる確率はかなり低いです
子宮蓄膿症
未避妊の状態で、4歳以上で15%程度発症し、高齢になるほど発症率が高くなると言われています。文献によっては25%、50%程度と書かれていることもあり、発症率の高い疾病であることが分かります。発見が遅れると治療が難しくなりますが、避妊手術をしていれば完全に予防できる病気です。
自分の子宮に膿がたまる想像をすると恐ろしいです。
実家のポメは未避妊なので、気をつけてあげないといけません。
去勢手術によって防げる病気(男の子の場合)
精巣腫瘍
高齢になるほど確率が高くなります。睾丸(タマタマ)が正常な位置である陰のうまで降りてきてこない「停留睾丸」の場合、通常の13~14倍も発生リスクが高くなると言われています。4歳ごろから腫瘍の発生率が高くなり、さらに停留睾丸の場合は腹部に隠れてしまうため発見が遅れやすいそうです。
1歳を過ぎてもタマタマが降りてこない場合は、停留睾丸である可能性が高く、去勢した方がいいかもしれません。未去勢の子は要チェックです。
会陰ヘルニア/前立腺肥大/肛門周囲腺腫
これらの病気は男性ホルモンが悪影響を及ぼして発症する病気です。これらの病気を発症した場合はすべて外科的な治療が必要となり、未去勢の場合は、再発を防ぐ観点からも去勢手術も同時に行われる場合が多いようです。
去勢すれば必ず防げるというものではありませんが、未去勢の犬が発症しやすいということもまた事実です。
ぽぽちが治療中の脱毛症「アロペシアX」においては、未去勢の男の子の場合、去勢を行うことで発毛したというケースもあるようです。
避妊・去勢のそのほかのメリット
女の子の場合 発情・生理のストレスがなくなる
発情(ヒート)は女の子にのみ起こります。
- 年に1〜2回で、10日間ほど続く
- クッション等にまたがって腰を振る「マウンティング」の動作がみられる
- 食欲がなくなったり、普段より神経質になる
- 発情中のメスの匂いを嗅ぎつけたオスに追いかけ回されることがある
- 偽妊娠を起こすことがある
- 発情期の前8日間くらいに出血がある(生理)
- ドッグランなどで誤って交尾をしてしまい、妊娠することがある
避妊手術をすることで、これらの発情のストレスや事象を未然に防ぐことができるようになります。
実家のポメはたまに出血(生理)、マウンティング行動、淫部が腫れていることがあります。ホルモン周期によるものだと思われます。
ぽぽちはなった事ないです
男の子の場合 マーキング・ストレスが減る
男の子の場合、性成熟が進むと以下のような行動がみられるようになります。
- マーキングを行うようになる
- クッション等にまたがって腰を振る「マウンティング」の動作がみられる
- 縄張り本能などにより、ほかの犬に対して攻撃的になるなどのストレスがある
- 交尾欲によりメスの犬を求めて脱走・追いかけ回してしまう
- ドッグランなどで誤って交尾をしてしまう
去勢手術をすることで、これらの行動やストレスを未然に防ぐことができるようになります。ただし、マーキングが習慣化している場合は、手術をしても収まらない場合もあるようです。
避妊・去勢のデメリット
子どもが産めなくなる
愛犬に子どもを産ませたいと考えている人は、避妊・去勢をしないほうがよいでしょう。
愛犬を交配させたいと考えている人は下記のページを参考にしてみてください。具体的な方法が紹介されています。
太りやすくなる
避妊・去勢をした後に肥満になりやすくなる子が多いようです。
ぽぽちは手術後に、「太りやすくなるから」とダイエットフードの試供品を頂いて帰ってきたのですが、それをペロリと平らげた後いつものフードに戻し、数ヶ月後…いつのまにか2キロくらいから2.6キロまで太ってしまいました。
おデブだよ!!!
と先生に怒られました。現在はご飯の量を調節し、1.7キロのベスト体重です。
みなさんもお気をつけください
ぽぽちの避妊手術体験談
我が家が避妊手術を決めた理由
避妊について色々調べた結果、実に多くのメリットがあることがわかりました。私が個人的に一番恐ろしいと感じた病気は「子宮蓄膿症」です。想像すると実に苦しいですし、発症率が高いのが気になりました。
私自身、産前は月経困難症、産後は子宮内膜症に悩まされており、月の半分はどこかしら不調がある状態です。
こんなに辛いならいっそのこと子宮を取りたい……
痛みに悶えながら、こんな風に考えたことは一度や二度ではありません。
ぽぽちに自分を重ねるのも変な話なのですが、ぽぽちが私のように病気になったり、ホルモンバランスに苦しめられてしまうのは辛いです。まして、子どもを産む予定もないのに、もし子宮に膿がたまったら…?
そう考えたら、全身麻酔のリスクを取ってでも、避妊のメリットをとろうという決断に至りました。私の体調のことをよく理解してくれている夫も、この考えに賛成してくれました。
もし私が健康だったなら、違う決断になっていたかもしれません。
避妊手術のスケジュール
手術日が決まり、当日の朝から絶食状態で病院へ向かいました。
はじめに、術前検査(血液検査)を行いました。数値に問題はなく、手術が行えることになりました。
ぽぽちの通う病院にはレーザーの機会があり、これを用いての手術でした。
レーザー手術はお腹の中に糸を残す必要がなく、出血量も少なく、手術後の痛みも少なくなるそうです。わんちゃんの体への負担が小さいため、日帰りで手術を受けることができました。
前金10,000円とぽぽちを預けて、一旦家に帰りました。当日の夕方の17時半にお迎えです。
乳歯遺残(残存乳歯)も抜歯することに
ぽぽちのように身体が小さいわんこに非常に多いのが「乳歯遺残(残存乳歯)」です。ぽぽちも例に漏れず、抜け落ちてない乳歯が存在するとのことで、避妊手術のついでに抜歯をしてもらうことになりました。
乳歯遺残は、自然に抜けることはなく、そのままにしておくと歯並びに影響がでたり、虫歯になる可能性も高くなります。
避妊・去勢と一緒に乳歯遺産の抜歯も行えば、一度の全身麻酔で済むので、わんちゃんへの体への負担も少なくて済みます。避妊・去勢をお考えの方は、わんちゃんの歯の生え変わりをチェックしてみるといいでしょう
13本も乳歯が残っていました。まさかこんなにいっぱいあるとは。
まだ前歯に一本のこっているんだな〜
去年、なぞのグラグラ前歯を発見しました。
本数を数えてみたところ、一本多いようで…汗
なんせ歯がちっちゃくて、すみません…汗
避妊・抜歯手術にかかった費用
かかった費用はトータルで5万円くらいでした。料金設定は病院によりけりでしょうが、ぽぽちの場合は抜歯込み・レーザーなのでちょっとお高めかもしれません。
飼い主のメモによる手術費の内訳
- 手術 29000円
- 麻酔 5000円
- 点滴 1200円
- 抜歯(犬歯)1000円×本数
- 抜歯(切歯)500円×本数
(臼歯についてはメモがありませんでした。)
多分抜歯で1万円以上かかってますね。汗
術後の経過は順調!
数日分の抗生物質のお薬をもらいました。傷口の様子を見るために、こまめに通院した記憶があります(はっきりと覚えていなくてすみません)
なんと術後1週間後に、夫の実家に帰らなければならなくなり、エリザベスカラーをつけたまま長距離移動、数日の義実家滞在と、なかなか過酷な術後だったことを記憶しています(もちろん獣医師の了承を得て帰省しています)。義実家滞在中は、安静にするために、ケージの中でじっと過ごしてもらいました。
その後、体調を崩すことなく、傷も綺麗に治り、無事にカラーを取ることができました。
カラーはずっと付けっ放しだと可哀想なので、飼い主が構ってあげる時は外して過ごしていました。
ぽぽちは、病院のプラスチック製のカラーをつけていましたが、柔らかくてかわいいカラーもあるようです。
めっちゃかわいい〜
買っちゃう?
やめてくれや
プラスチックのものよりも付け心地がよく、枕のように使っているわんちゃん・ねこちゃんのかわいい姿も目撃されているようです。カラーをつける期間は意外と長かったので、これから手術を控えているという方はぜひ導入をご検討ください。
私も、存在を知っていたらかわいいカラーをつけてあげたかったです。
まとめ 〜避妊・去勢手術はするべきか否か
全身麻酔のリスク、避妊・去勢手術によって得られるメリット、我が家の体験談についてまとめました。
避妊・去勢を勧める獣医さんが多いのは「全身麻酔のリスクを取ったとしても、避妊・去勢によって得られるメリットの方が大きい」と考えているからかなと思います。
病気になってしまうと、愛犬に苦しい思いをさせてしまいますし、精神的・金銭的な負担も計り知れません。
しかし、上記に書いた通り、全身麻酔で亡くなる確率は0.17~0.65%と決して低くありません。
「後悔のない選択」というのは、後からついてきた「結果次第」というところもあり、実際には難しいものです。
ですが、「どんなリスクが」「どのくらいの確率で起こるのか」そういった情報を飼い主さんが知っておくことで、手術を受ける心構えや、定期的に健診を受けるなどの病気への備えできると思います。
愛する家族とできるだけ長く一緒にいるために、飼い主は思いを尽くしてあげたいですね。
避妊・去勢手術を考えている人の参考になれば幸いです。
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